「データ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のために」を読んで
はじめに
私はmotsuといいます。統計学やアクチュアリーなどに興味がある大学生です。本日は
「データ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のために」を読んだ感想を記載していきたいと思います。
目次
こちらのサイト
データ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のために 江崎貴裕(著/文) - ソシム | 版元ドットコム
から目次を取ってきました。主に物理モデルと統計モデル、それらのモデルの評価、モデル構築、より良いモデルについて詳しく書かれた本になります。
第一部 数理モデルとは
第1章 データ分析と数理モデル
〔データを分析するということ/数理モデルの役割〕
第2章 数理モデルの構成要素・種類
〔理解志向型・応用志向型モデリング/数理モデルの適用限界〕
第二部 基礎的な数理モデル
第3章 少数の方程式によるモデル
〔線形モデル/実験式・カーブフィッティング/最適化問題〕
第4章 少数の微分方程式によるモデル
〔線形微分方程式/非線形微分方程式/安定性解析/制御理論〕
第5章 確率モデル
〔確率過程/マルコフ過程/待ち行列理論〕
第6章 統計モデル
〔正規分布/統計的検定/回帰分析〕
第三部 高度な数理モデル
第7章 時系列モデル
〔時系列データの構造/自己回帰モデル/状態空間モデル/非線形時系列解析〕
第8章 機械学習モデル
〔複雑なモデルと過学習/分類・回帰問題/クラスタリング/次元削減/深層学習〕
第9章 強化学習モデル
〔行動モデルとしての強化学習/機械学習モデルとしての強化学習〕
第10章 多体系モデル・エージェントベースモデル
〔ミクロからマクロへ/さまざまな集団現象モデル/相互作用のネットワーク分析〕
第四部 数理モデルを作る
第11章 モデルを決めるための要素
〔数理モデルの性質/理解志向型・応用志向型モデリングのポイント〕
第12章 モデルを設計する
〔変数の選択/データの取得・実験計画/数理構造・パラメータの選択/間違ったモデリングをしないために〕
第13章 パラメータを推定する
〔目的に応じたパラメータ推定/パラメータ推定における目的関数の最小化/ベイズ推定・ベイズモデリング〕
第14章 モデルを評価する
〔「いいモデル」とは/分類精度の指標/情報量基準/ヌルモデルとの比較・尤度比検定/交差検証〕
感想
統計学や物理学を学びたい人やデータ分析について関わりたいと思っている人にはちょうど良い本だと思います。様々は専門書にはない、各モデルについての概略やどういう場面でそれらモデルを使用するべきなのかについての全体像を掴むことができると思います。1冊目におすすめです。
私はこの本において 微分方程式モデル・確率モデル・機械学習モデル・強化学習モデル etc が1冊にまとまっていることに感動しました。 これらをまとめた「数理モデル」を俯瞰的にみることができ、状況に応じてどのようなモデルを用いるのか、あるいは組み合わせるのかを考えるきっかけになりました。
この次に読むと面白い本
こちらの本は全体像を掴むことには最適ですが、実装したいであったり、理論について深く学びたい場合にはもう1段階踏み込んだ内容の本を読む必要があります。そこでお勧めの本を紹介していきたいと思います。
数理統計学
これらの本は全て測度論をベースとしない数理統計学の本です。上記の本を読んだ後に統計学への興味が出てきた場合、こちらの本を手にとって、自分に合う本を一冊読んでみるのがいいと思います。
こちらの本は統計検定1級の対策やアクチュアリー数学の試験の勉強に最適です。近年話題の計算機統計の話も載っています。
「数理統計学」
「数学シリーズ」の1冊です。満遍なく書かれており、わかりやすい記述がなされています。
こちらは「現代数理統計学」の新装改訂版になります。Amazonでも高額の中古商品ばかりで手が出せなかった本書が問題の略解付きで販売されます。
上の3冊が難しい場合、こちらから読んでみると良いかもしれません。証明の式変形は丁寧ですし、何より問題数が多いので、良い練習になります。
「入門数理統計学」
あとは証明の参照に以下の本がおすすめです。上記の3冊には書かれていない証明などが詳しく書かれています。
機械学習
機械学習に関する本はいろいろと出版されております。そのため、ここでは名著をピックアップします。他にも良い本がある場合はコメントいただけると嬉しいです。
通称「PRML」です。機械学習の代名詞と言える本です。ベイズに親しみのある方、これからベイズに取り組みたい方にもおすすめです。
「PRML」ほどではありませんが、機械学習アルゴリズムについて理論的に記述されている本です。「はじパタ」として親しまれています。主に分類において用いられている線形判別分析やSVMの理解に最適です。
「ベイズ深層学習」
上記の「PRML」に変わるベイズ流の機械学習本と巷では話題になっている本です。一番の魅力としては「ガウス過程」について書かれていることです。「深層学習」と「ガウス過程」との関わりを知りたい方にもおすすめです。
こちらは機械学習で用いられている数学(線形代数、微分積分)から書かれており、pythonによる実装も載っているため、機械学習を学びたいあなたにとって最初に選ぶべき1冊であると断言できます。こちらの本を読み切った上で、上記の「PRML」や「はじパタ」、「ベイズ深層学習」などを読み進めてはいかがでしょうか。
終わりに
今回は「データ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のために」を読んだ感想とそれにまつわる本の紹介をさせていただきました。特定の分野(統計、機械学習、などなど)に特化したはたくさんありますが、今回のような全体像を把握できる本はなかなかありません。なので、このような貴重な本を味わい尽くしたいと思います。
「データ活用のための数理モデリング入門」も同テーマであるので、今度こちらの本についても読んでみたいと思います。